なぜ貧困はなくならないのか?


不思議ではないですか?
自由、平等で世界一金持ちといわれるこの日本で貧困に苦しむ人たちがいるなんて。

年間3万人もの自殺者のうちその大半は経済的理由です。

当たり前と思っている資本主義の仕組みに何か大きな間違いがあるのではないでしょうか?

まずは資本主義の本質を理解するためにモノポリーで考えてみます。
複雑に見える経済のしくみもシンプルなゲームに当てはめてみると本当の姿が見えてきます。

                     モノポリー

ゲームを始めるとき4人のプレイヤーはみんな平等です。
その4人がサイコロを振りながら土地や家屋の権利を買い、投資を繰り返していくわけですが、
テクニックと運によって次第に1人のプレイヤーに富が偏っていきます。

結局は1人のプレイヤーがほとんどの利権を買い占めてしまい、他の3人はまったく太刀打ちができなく
なったところでゲームセットとなるはずです。

まったく平等な4人が完全に自由な競争をしたとしても必ず結果は1人の勝者に富が独占され、
他のプレイヤーを破産に追い込むことになります。

       貧富の格差。小人数の人間が富を独占している 
                                                           知られざる、もうひとつのブラジルより

つまり自由にまかせているだけでは経済活動はやがて破局を迎えることになります。
新自由主義者と呼ばれる人たち(※)は自由な競争を促進し、あらゆる規制を撤廃すれば経済が
成長を続けると信じ込んでいますが、大間違いであることがモノポリーをやってみると
よくわかります。金持ちはどんどん金持ちになり、貧乏人は永久に貧困から抜け出せず貧富の差が
拡大していく法則がゲームの中にはっきりと見てとれます。

自由に任せておくだけではゲームを続けていくことができません。
そこでゲームを終了するか、さもなければルールを改正する必要がでてきます。

モノポリーの限界に気が付いた4人は相談してゲームの世界に政治を導入し、ルールを改正
していくことを思いつきました。選挙を行い政治家を1人選出することにしたのです。
経済の世界に政治が持ち込まれるといったいどんなことがおきるのでしょうか?
経済と政治を融合させれば世の中の縮図が出来上がります。

4人で選挙を行って政治家を選出するのですが、この場合当然これまでゲームをリードしてきた
大金持ちは選ばれません。なぜなら1人の金持ちと3人の貧乏人が投票するわけですから代表者は
3人の貧乏人の中から選ばれることになります。1人一票ずつの民主主義ですから当然です。

選挙で選ばれた政治家はモノポリーのルールを貧乏人が有利になるようにどんどん変えていきます。
トップのプレイヤーからごっそり税金を徴収し、貧しい他のプレイヤーに再配分していきます。
富の再分配が行われるわけです。

しかし、トップのプレイヤーにしてみればたまったものではありません。
せっかくここまで溜め込んだ富がすべて平等に分配されてしまえば、これまでの努力が水の泡に
なってしまいます。

そのことに気がついた金持ちプレイヤーは政治家を買収することを思いたちました。
政治家を買収すれば金持ちを守るための法律を作らせることができます。

                      賄賂

政治家はもともと貧しいプレイヤーの出身だったわけですから最初は抵抗しますが、
結局お金持ちの言うとおりにしたほうが得だということに気がつきます。

表面上は貧乏なプレイヤーの味方のようなふりをしながら票を集め政治家になり、少数派の金持ちに
有利な仕組みをつくり資金提供を受けることで他のプレイヤーより裕福になります。これが財界と
政界の癒着です。

政治家が金持ちによって買収されている状態は今の日本の政治とまったく同じです。いや世界共通と
言って良いでしょう。一般庶民より貧しい政治家は皆無です。政治家は金持ちから政治献金(実質上の
賄賂)を受けながら金持ちに都合の良い政策を実行することで(程度の差はあれ)私腹を肥やしてい
るのです。

金持ちや権力者にとって富を平等に配分しようとする共産主義はもっとも警戒すべき敵です。
なんとしても叩き潰さなければいけません。もし貧しい人間が政治に目覚め、多数決で平等な社会を
つくろうとすればそれはできます。不公平な社会は解消され、たちまち金持ちの優位性は失われて
しまいます。

そこで金持ちたちはマスメディアや大学教授までも味方に付けて、『共産主義は危険な発想だ』と
すべての国民を洗脳しようとします。今の日本人を見てみるとどんな貧しい人ですら、共産主義は
駄目だと考えています。これがまさに金持ちの思うツボで、洗脳が見事に成功しているわけです。

では社会のシステムはどうあるべきでしょうか?
この世界から貧困を排除して経済的格差を緩和するべきでしょう。
努力してコツコツ頑張る人が報われるような社会でなければいけません。

しかしまったく平等であっても労働意欲が沸いてきません。
一生懸命働いた人と朝から晩までお酒を飲んで働かなかった人が同じ給料だとすると
バカバカしく思えてくるでしょう。

かつてソ連や中国、北朝鮮などで共産主義への取り組みが行われました。
多くの人が地上の楽園の誕生を信じて一生懸命頑張りました。
しかし結果は意外なことに生産性が著しく低くなり、資本主義との競争に敗れてしまいました。

モノポリーでも富の再分配をどんどん推し進めていけばたしかに平等な社会が実現されるのですが、
4人が平等になってしまうとこんどは逆にわざわざゲームをやろうという意欲が失われて
しまうわけです。

経済をうまく循環させるためにはある程度の経済格差も必要なのです。水は高いところから低いところ
へ流れます。そしてそれがエネルギーを生みます。お金も同じ事でこの高低差がなければ流通しないわ
けです。しかし今問題になっているのはその格差の程度です。

たとえばプロ野球の選手がいくら一流だからと言って何億円も報酬を受ける必要があるのでしょうか?
大企業の社長が一般社員の何百倍もの給料をもらうほど本当に価値ある仕事をしているのでしょうか?
物や価値を生み出さず、お金だけを動かすビジネスが社会を支配することが許されるのでしょうか?

資本主義の競争の原動力を残しながらできるだけ平等な社会を実現するという異なる命題のバランスを
うまくとることが必要なのでしょう。

具体的に言えば、高額所得者の上限を青天井にするのではなく、低額所得者と高額所得者の格差を
せいぜい10倍ぐらいに制限しておくことが必要ではないでしょうか?
* 新自由主義者と呼ばれる人たち...新自由主義とはアメリカや日本などで中心となっている 経済理論です。政府による経済への干渉をできるだけ少なくし、徹底的に競争を行うことで 経済を良くしていこうという考え方ですが、過激な競争の結果貧富の差が大きくなったと言われています。 日本では竹中平蔵氏が小泉政権下で新自由主義的政策を実行し、従来の日本的な良さが失われたという批判が多いです。

竹中氏はその批判に対して規制撤廃が不十分で、セイフティーネットの構築に手が回らなかったと主張しています。 もっともな主張にも思えますが、規制撤廃の自由競争の先にはモノポリーに見られるように一人勝ちの結末、つまり大企業の独占が待っています。 大企業の独占は結局硬直した経済システムを生み出すことになり、新自由主義はみずからの矛盾を説明できなくなります。 セイフティーネットの充実によって最低線が保証 されたとしても基本的な社会のゆがみは存在し続けるでしょう。

新自由主義は大企業を優先し、既得権益者の利益を守るのに好都合な経済思想だといえます。

(竹中氏や小泉元首相が日本を米国に売り渡すための売国奴あるいはCIAのエージェントであるという陰謀論はネット上では 頻繁にささやかれますが、証拠はありませんからここでは考えません。個人的には政策の良し悪しは別にして、それまで何も してこなかった歴代の内閣より強力なリーダーシップを発揮した彼らの実行力は見習うべきものだと思います。)
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written by 新太