「大人って助けないんだね」と娘に言われた日

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先日、こむぎとショッピングモールを歩いていた。

すると目の前で男性が派手に転んだ。

本当に派手だった。

つまずいたというより、

すっころんだ。

そう表現した方が近い。

しかも両手には買い物袋。

買い物を終えたばかりだったのだろう。

パンパンに膨らんだ袋を抱えたまま前のめりに転び、

袋の中身は見事に四方八方へ飛び散った。

あまりに突然で、

一瞬スローモーションを見ているようだった。

私は助けなかった

男性はすぐに立ち上がった。

そして散らばった荷物を拾い始めた。

怪我をした様子はない。

痛そうではあったが、

救急車を呼ぶような状況でもなかった。

私は立ち止まらなかった。

こむぎと一緒にそのまま歩いた。

冷たかったわけではない。

むしろ逆だった。

大人の男性が人前で派手に転ぶ。

しかもショッピングモールのど真ん中で。

たぶん本人はものすごく恥ずかしい。

そんな時に

「大丈夫ですか?」

と声をかけるのは、

かえって羞恥心を刺激する気がした。

だから私は見なかったことにした。

何事もなかったように通り過ぎた。

それが気遣いだと思った。

こむぎの一言

しばらく歩いたあとだった。

こむぎがぽつりと言った。

「ねぇ」

「ん?」

「あーゆーとき周りの大人は誰も助けないんだね」

ドキッとした。

その発想はなかった。

大人の理屈

私の頭の中にはいろいろな理屈があった。

怪我はしていなかった。

大人だから一人で対応できる。

恥ずかしいだろうから見ない方がいい。

余計なお世話かもしれない。

だから通り過ぎた。

でもこむぎにはそんな理屈はない。

目の前で人が転んだ。

荷物が散らばった。

困っていた。

なのに誰も助けなかった。

見えたのはそれだけだった。

どっちが優しかったのだろう

今でも正解はわからない。

私は見て見ぬふりをしたつもりはない。

気を遣ったつもりだった。

でもこむぎから見れば、

困っている人を誰も助けなかった大人たちだった。

優しさだったのか。

気遣いだったのか。

それともただの言い訳だったのか。

正直わからない。

ただ一つ言えるのは、

子どもは時々とんでもなく鋭い。

そして私はあの日、

こむぎの一言に

なんも言えねー

となったのである。 😅

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